ココロザシ勝手に応援団

磯蔵酒造  

03.03.2010

「ロックインジャパンフェスティバル」や「COUNTDOWN JAPAN」など
若者の集まる音楽フェスに、日本酒の移動式barを出店している酒蔵がある。
その名は「磯蔵酒造」。
その目新しい動きに、応援団の血が騒いがないわけがない。
さっそくWEBサイトを調べてみると、美しい酒蔵風景がお出迎え。
さらには、てづくりの「磯蔵新聞」や「動画CM」なるものまで発信している。

ただの酒蔵ではない、な。

きっと新しい酒蔵のあり方を発信しているのだろう。
そんな仮説を立て、意気揚々と取材に乗りこんだ私を待ち受けていたのは、
「新しいことをやろうなんて、まったく思ってない」
と話す 蔵主 磯 貴太さんだったのです。

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茨城県笠間市、150年続く磯蔵酒造。

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蔵主 磯 貴太さん

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磯蔵酒造さんでは、こんな取り組みをしています。

「ちょっ蔵」

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ロックフェスでの移動式bar
日本酒を使ったカクテルも提供するなど若者に人気!

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毎年4月、酒蔵で行う「新酒を祝う会」
ちなみに落語やダンスショーなども催されるそう!楽しそうです!

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磯蔵酒造内にあるカウンターバー
「きき酒場ぁ(bar)ちょっ蔵」とってもおしゃれ!


「磯蔵新聞」

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HPに掲載されている「磯蔵新聞」。
磯蔵酒造のお酒の特徴や、職人紹介などコンテンツもりだくさん!

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実際に新聞紙にも印刷。
年2回、5000部を配布しています。

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移動式barに、新聞コンテンツ。
なぜこんな新しい取り組みをしているのか、
さっそくお話を伺いました。


自分たちの目指す酒をつくるために、
飲み手と話せる場をつくった。


磯蔵酒造の目指す酒をつくるために、一切の妥協はありません。
ひと冬酒蔵にこもり、24時間体制で酒にとことん向き合う生活は、
時に「自分は一体なんのためにこんな苦労をしてるんだろう」
と心が折れそうになるといいます。
そこで、消費者と直接かかわりをもつ機会として「ちょっ蔵」を始動。
「うまかったよ」「イマイチだなー」
そんな風に直接の反応を得ることが、
職人の何よりのやる気・やりがいになっているといいます。


そうして、こだわり抜いてつくられたお酒。
しかし、その特徴を伝える役割だった酒屋はどんどん少なくなっています。
そこで自分たちのお酒の良さを伝えるべく「磯蔵新聞」をつくることに。
なぜこのお米を使っているのか、どんな人がどんな想いでつくっているのか。
しっかりと知ることができるコンテンツとなっています。

一見すると新しい動きのように思われた「ちょっ蔵」と「磯蔵新聞」。
しかしそれは、どんなに厳しくとも妥協をせず
自分たちの目指す酒をつくろうという想いや、
飲み手にちゃんと自分たちの酒の良さを伝えようという
まっすぐな姿勢から生まれたものでした。


自分たちの好きなことを貫いたら、
昔のやり方に戻っただけだった。


実は現在の「磯蔵酒造」という社名や、お酒のラベルはすべて、
磯さんが蔵主就任後に変更したもの。
日本酒の消費量が少なくなる中、
「どうせ売れないんだったら好きにやっちまうか!」と
蔵のスタッフと飲みながら話した会話がきっかけとなり、
自分たちの好きな酒づくりを目指すことに。

第一弾は社名とラベル。
「磯酒造」という社名を、「磯蔵酒造」にしました。
もともとお米の集荷業と酒蔵業を営んでいた磯家は、
敷地内に蔵がたくさんあることから、
昔から屋号として「磯蔵」と呼ばれていました。
「磯酒造」と社名がついた後も、呼び名は「磯蔵」のまま。
であれば、わかりやすく「磯蔵酒造」にしてしまおう。
ラベルも、磯蔵酒造の酒に似合うものへと一新。

磯さんは言います。
「あとから考えると、全部戻したような形になったんだよね」

お米も、いつのまにか流行を気にして他県の銘柄を使っていたけど、
昔は自分たちがつくったお米を使っていた。
味だってそう。「飲みやすい」「フルーティー」という流行にのっていたけど、
昔はお米らしいお酒をつくっていたんだ。

「自分たちの考える本質を貫こうと、
 酒造りを変えていったら、結果的に昔と一緒だった。
 やっぱり昔の物造りは、本質的なことをやっていたんだと思う。
 世の中の流れに合わせて本質から外れてしまうと、
 芯のない嘘くさいものになってしまう。」


この経験は、磯さんの考え方に大きなヒントを与えたそうです。

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磯さん曰く「磯蔵酒造のイメージにぴったり」というラベル。
アーティスト幸義明さんにラベルの文字を書いてもらったそうです。


モノづくりをするなら、
「自分が」どうしたいのか、
確固たる想いを持て。


磯さんは、今の日本酒の売り方・買い方にも疑問を抱いているといいます。


「日本酒は、本来は味が一番大事。
でも1人1人味覚が違うために味訴求では説得材料に弱い。
だから、『高級な素材を贅沢に』とか『伝統的な製法で』とか
『純粋で手間ひまかけた』などといった
飲み手に響きやすい『こだわり』が味よりも重要視されてしまう。
ところが、贅沢な素材を使うことで何がいいのか?
純粋って何をもって純粋なのか?
だからどんな味になったのか?と聞かれると
答えに困るような酒蔵も多いのではないでしょうか。
味にとって意味のない、売るためにつくられた『こだわり』づくりは、
酒造りの本質から外れていると僕は思います。

まして、すでに世の中には『物』が十分ある状態。
本当は必要のないものを必要があるように訴えて売る。
そこに無理があるし、それで売れる時代はもう終わったんじゃないかなと。

じゃぁどうすればいいのか。
まず、モノづくりを行う人間は、
世の中に必要とされてる・されてないは二の次にして、
自分が何をつくりたいのか、どうしていきたいのかという
確固たる想いを持つことが大事なんだと思う。
やってみて継続できなければ、
世の中に必要とされてないってことでまた別の道を探せばいい。
それだけのことなんです。」

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自分のやりたいことを見極め貫くこと。
そして物事の根本を突き詰めること。
情報や物があふれる今の世の中だからこそ、
このシンプルな力強さが、新しく感じられるのかもしれません。

戻ることが新しい。
なんだかこの考え方、次の時代をつくるヒントになる気がする...
なんてことを悶々と考えながら、雪降る茨城をあとにする山陰なのでした。

【今回ご紹介した企業】
磯蔵酒造有限会社
http://www.isokura.jp

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