ココロザシ勝手に応援団

和の会  

01.20.2010

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今日ご紹介する「和の会」は、
宝生流家元である能楽師 宝生和英さんが立ち上げた演能会。

そうです、「能」です。
教科書とか、テレビでたまに目にする「能」です。
私のような若い世代は特に、
興味を持っていても実際には見に行ったことのない方も多いのではないでしょうか。

そんな能の世界で、新たな動きを見せるのがこの「和の会」。
能をたくさんの人に知ってもらうために工夫を凝らした公演や、
気軽に能の文化に触れられるワークショップを行っています。

なんとこの家元、24歳になったばかりという若さ。
40・50代の家元が多い中、若いパワーが生み出す新たな試み!
具体的な活動から、立ち上げた理由まで、さっそく話を伺ってきました!


※「能楽界」・「宝生流」豆知識!
 能楽界は、観世流・宝生流・金春流・金剛流・喜多流と5つの流派に分かれています。
 室町時代より、将軍家との縁も深い宝生流の能楽は
 武家の文化を色濃く伝えるといわれています。

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【上】お話を伺った(右)宝生和英さん(左)「和の会」メンバー川口さん

【下】こちらは紋付袴姿の家元です!
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「自分だったら、入っていきづらい世界」

「和の会」は、能楽界でいう「自演会」というカタチで立ち上げたもの。
※「自演会」とは、能楽師が難しい演目などに挑戦し経験を積むために
自らの資金で行う公演のこと。主に50歳前後の能楽師が行うもので、 
宝生さんのような若手が立ち上げることは極めて異例。

立ち上げようと考えた背景には、経験を積みたいという勉強意欲以上に、
今の能楽界の状況に何かできることはないかという想いがあった。

宗家の家系に生まれ、5歳から能楽の世界に入った宝生さん。
東京藝術大学能楽科に進み、大学を卒業して間もなく正式に家元を継承。
当時22歳。家元として、今まで見えていなかった裏側の世界を知ったこと、
また他の流儀の方と触れ合う中で、「能」について改めて考えていた。

「自分がまったく能を知らなければ、見に行きたくない」
長い歴史がある分、能を知らなければ見に行くにも敷居が高い感じすらする。
でも、能をたくさん見ている人の解釈が一番正しいというわけではなく、
言葉や所作や小道具、すべて最小限にそぎ落とした能は、
読み手の想像力に解釈をゆだねることができる。
伝統的な見方に縛られず、十人十色の感想があっていい。
ともすると主催者本位の公演になってしまいがちだが、
もっとお客様自身が、素直に自分の感じ方で楽しめるものにしたい。

この想いを体言する会をつくりたいと考えていた矢先、
能公演の制作を行っていた川口さんと知り合い、声をかけた。

※ちなみに今までの能楽界は、公演の準備は、
営業、企画、そして資料集めにいたるまですべて能楽師が行うことが多かったが、
宝生さんは、その都度、役割ごとにプロフェッショナルが集まってつくり上げる方が、
いいものが出来上がると考えていたのだ。

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ちなみに、これが台本である「謡本」。何が書いてあるのかさっぱりです。

「能を知らない人だらけ」からのスタート。

もっとたくさんの人に能を楽しんでもらう会をつくりたい。
さらには、能楽を楽しむ方に40・50代の方が多いことから
「学識の高い年配の方が楽しむ芸能」だと思われている「能」を変えたい。
若手中心の会をつくって、若手楽師の頑張りを伝えたい。
宝生さんの想いを実現すべく、川口さんは立ち上がる。
知り合いに片っ端から連絡し、会を運営するメンバーを15名ほど集めた。
2008年9月、晴れて「和の会」が発足する。
ところが集まったはいいものの、「能」をまったく知らないメンバーに、
宝生さんが目指す会への想いを伝えることは簡単なことではなかった。
それぞれが仕事を抱える中、何度も打ち合わせの場をつくり、
能の基本的な知識、楽しみ方をイチから説明。
そして2009年4月。
いよいよ記念すべき第一回「体感する能」を公演。
以後、ワークショップなどの回を重ねながら、
メンバー一丸となって、能の楽しみを伝えている。


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こちらが「和の会」メンバー。


能の本質をわかりやすく伝えたい。

「和の会」で大事にしていることは、
あくまで能の本質を崩さず、能の楽しみを伝える入り口を広げること。
たとえば、オーケストラとコラボレーションして
新しいカタチを生み出すような奇抜なことは考えていない。
歴史を受け継いだ各流儀の能のカタチは尊重すべきもの。
演目など核心的な舞台のカタチは変えずに、
それ以外の部分で入り口を広げる動きを新たに加えたい
という宝生さんの考えがベースにある。

くふうを凝らした公演
「体感する能」

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第一回公演のチラシ。
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こちらが第二回公演のチラシ。メインビジュアルは、なんと切り絵。
切り絵作家である福井利佐さんが手掛けた。


「体感する能」では、能を感じてもらうための工夫が随所に散りばめられていた。


「プログラム」
「体感する能」では、能をシンプルに味わってもらう公演プログラム構成を選んだ。
最初に、狂言や連吟などといった時間の短く軽めのものを5つほど入れ、
最後に「能」の演目を1つやるというシンプルなもの。時間も2時間ほどに納めた。
ちなみに正式な能のプログラムというのは、
オムニバス形式で、能の演目を複数行うというもの。
全部で半日ほどかかる長丁場なため、
初めて能を見る人には、重たくバテてしまうと考えたのだ。


「ナレーション」
能の演目の前には、ナレーションを入れることにした。
解説自体は、よく使われる手法だが、
大学の教授などが能の歴史や舞台背景など学術的に述べるものが多い。
宝生さんはこの解説を見直し、お客さんが見る前に一番知りたいこと、
つまり物語のあらすじだけを入れることにした。
さらに、照明を落とした真っ暗な空間に、ナレーションとして流すことで、
耳で物語を体感できるようにした。
この取り組みは、初めて能公演に訪れた観客から好評価だったという。


「稽古の様子を伝える」
殺風景だったロビーには、
若手写真家に協力してもらい、稽古風景の写真も展示。
普段の能楽師の様子を知ってもらい親近感をもってもらう。


「ワークショップ」
公演の前には、気軽に参加できるワークショップを行った。
能装束と呼ばれる衣装を着られるもの、能の謡を体験できるものなど、
多くの参加者が集った。

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装束を実際に着られるワークショップ

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これが装束!すごくきれい!!!

このようなアイデアは、「和の会」の打ち合わせから生まれるもの。
客観的なメンバー意見を宝生さんが吸い上げ検討する。
もちろん形式の多い中、すべてが実現できるわけではないが、
「じゃぁ、他のやり方でできないか」と考えることで、新しいアイデアとなり形になる。
「24歳の今しかできないこと」と宝生さんが言うように、
非常にパワーのいる取り組みだが、ひとつひとつ向き合うことで、
新たな能の舞台をつくり上げている。


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「和の会」は、より能に興味をもってもらうきっかけづくりの場である一方、
昔から見に来てくれているお客さんにも楽しんでもらえる舞台を目指しています。
能の本質は決してぶらさず、親しみやすいよう工夫を凝らす。
誰からも愛される会へ向けて、邁進中です!

【おまけ:能っておもしろそう!】
能って、案外小難しいものでもないのかも!?
宝生さんにいろいろ教えてもらううちに、私も興味が倍増しました。

1.能の演目って、歴史上のマイナーな人物が多いんですって。
 直江兼続とか好きな人はたまらないらしいです。

2.ふつうに「おばけ」や「怪物」が出てくる。
 霊が主人公の話って聞いたことない!

3.隅々まで「そぎ落とされた芸術」を堪能できる。
所作は言葉はもちろん、小道具も基本的に使いまわしで物を表現するんです。
 たとえば木の枠。あるときは山に見立てたり、桶に見立てたり...
そして装束を見るだけでも面白いそう。
何百年も使われる着物の美しさはもちろん、絵柄から四季を読み取ることもできるそう。

宝生さんの話を聞いて、すごく身近に感じることができました!
みなさんもぜひ一度、見に行かれてみては?


【今回ご紹介させていただいた団体】
「和の会」
http://www.hosho-wanokai.com/

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