10.06.2009
真珠といえば、思い浮かぶのはツルツルと丸いもの。
しかし、これを見てください!

これは、真珠にダイヤモンドカットが施してある「華真珠」。
写真だとわかりにくいかもしれませんが、まるでダイヤモンドの中に
真珠が埋め込まれているように、きらきらと光っています。
海外に新しい市場を切り開いた、日本が誇る技術なのです。
今回のココロザシ、勝手に応援団は
そんな「華真珠」を生み出し、第三回ものづくり日本大賞において
最高賞の内閣総理大臣賞を受賞した小松ダイヤモンドさんのご紹介です。
どーん!

ダイヤモンド、ジュエリーの加工で有名な山梨県甲府市にて
代表の小松一仁さんにお話を伺いました。
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下請けから脱するために
「オリジナル商品をつくろう」
1967年、ダイヤモンドカットの名人だった
小松さんのお父様によって、小松ダイヤモンドは創立されました。
高い技術力で、ゼロの状態から伸びてきた小松ダイヤモンドですが
『宝石はカットさえすれば売れる』と言われ、
人々が職人技を求めなくなった時代になると
「どうせ売れるから、小松さんのような高い技術のカットは必要ない」
と言われてしまうこともあり、会社の経営はだんだんと苦しくなっていきました。

いまでは世界中で使用されている『ストリームカット』という技術が
開発されたのもその当時でしたが、誰からも見向きもされませんでした。
そこで小松ダイヤモンドは、大手メーカーの下請け加工を請け負い
生計を立てていく必要がありました。
当時学生だった現在の社長、小松一仁さんも宝石の研磨を手伝うようになります。
お父様が懸命に技術開発に打ち込む姿を見た小松さんは
父が持つ高い技術、創意工夫、そしてものづくりへの情熱を
自分が広めていかなければならない-と、稼業を継ぐことを決意されます。
そして息子の決意を受けたお父様は、不安定な下請けから自立できるように
独自商品の開発をはじめます。
親子二代にわたっての
命がけの技術開発
そこでお父様は、なんとまだ誰もカットをしたことがなかった
「真珠」をカットするということに挑戦をしました。
小松ダイヤモンドが、カットする材料に真珠を選んだのには、3つの理由があります。
1つ目は、真珠は『日本で唯一産出される宝石』だったこと。
2つ目は、真珠は少しキズがあっただけでも評価が下がり、販売ができなかったこと。
そんな真珠にカットによって付加価値をつければ、
新たな市場が生まれるのではと考えたのです。
3つ目は、女性に真珠をもっとカジュアルに楽しんでもらいたいという想い。
真珠はポピュラーなジュエリーだけど、フォーマルすぎて冠婚葬祭
以外には使いにくい。しかしカットを入れることによって新たな美しさが
出せるのではないかという試みでした。
それが、世界初の本真珠にカットを施した「華真珠」のはじまりです。
しかし、下請けの仕事をしながらの開発は予想以上にハードなものでした。
開発途中にお父様が倒れ、入院。退院しても、研磨機の横にベッドを置き
30分仕事をしては寝て休み、麻痺した左腕で命がけの開発を続けたそうです。
真珠は、ダイヤモンドと違って、薄い真珠層がかさなってできています。
その中には核があり、カットをする際核がでてしまっては美しさが台無しになってしまう。
限られた厚みの中でカットの面を形成するのは難しく
開発には10年もの月日がかかってしまいました。

「世界ではじめて」
のものを世の中に広める難しさ。
こうして完成した「華真珠」。
しかし小松ダイヤモンドの本当の戦いはここからはじまります。
17年前、はじめて国際宝飾展に「華真珠」を出品をしたときの反応は賛否両論。
保守的な日本市場において「真珠は丸いもの」というそれまでの常識を
打ち破るのはそう簡単なことではありませんでした。
「誰も見たことがないものだったので、厳しいことも言われたましたね。」
と小松さんは当時を振り返ります。
しかし「華真珠」には少数派ながら根強いファンがついていました。
本来なら、真珠業界において邪道なはずの「華真珠」の技術を評価し
材料提供をしてくれた真珠屋さんの社長もその1人。
こういった応援してくれる方々に支えられ、「華真珠」を作り続ける
ことができたそうです。
国内をとび越え、海外へ!
日本ブランドを築きあげる。
そんな「華真珠」に転機が訪れます。
ある日、「華真珠」を見たアメリカ人の業者さんが「これはすごい!」と
興奮してアメリカに持ち帰り、すぐにアメリカで販売することになったのです。
外国人は「真珠は丸いもの」という先入観は持っておらず
むしろ原石のままより、カットが施してありキラキラと輝く宝石の
方が数段高く評価されるという土壌があります。
そのため、「華真珠」はたちまち海外で話題になり
1997年には世界でもっとも権威のある宝石学校、G.I.Aの機関紙に
紹介されるまでになりました。
しかし「華真珠」が海外で高い評価を受けるほど
粗悪なコピー商品が出回ることに、小松さんはショックを受けました。
「華真珠は、こんな陳腐な輝きじゃない。
本物の華真珠を海外にアピールしよう」
そう決意した小松さんは、世界4大展示会のうちの1つ
香港で開催されるHong Kong Jewelry&Watch Fairへ出展します。
会場の中国業者ブースには、一面「華真珠」のコピーが。
しかし、粗悪な真珠に粗悪なカットを施してあるものは売れるはずもなく、
やがて姿を消していきました。
展示会でひときわ美しい輝きを放っていた"本家"華真珠は
注目を集め、海外のジュエリーブランドに起用されるようになりました。
ただ優れた技術を開発するだけではなく、
市場に必要とされるものづくりをしていきたい。

(カットを施す小松さん)
小松さんは、「華真珠」を単なるブームにしないために
カットの技術をさらに磨きます。
こうして、2009年にはアメリカ宝石カットコンテスト「Gemmys」において
「華真珠」のカットで見事カット部門第一位を獲得。(日本人初の快挙!)
日本では第3回ものづくり大賞を受賞します。
今や「華真珠」は、珍しいことが目をひく宝石ではなく
日本が有するひとつのブランドとして認知されるようになりました。
「賞をもらおう、何か新しい技術を開発しよう、という気持ちで
真珠をカットしているのではなく、毎日当たり前のことを積み重ねていたら
いつの間にか技術がついてきた。」
と言う小松さん。
今後はより「小松ダイヤモンド」としてのブランド力を高めるため
ジュエリーのデザインまで手掛け、打ち出していきたいという夢を持っています。

その第一弾として制作された、困難な角度のないものをカットする技術を可能にした
オリジナルジュエリー。ジュエリーベストドレッサー賞2009を受賞した
松山ケンイチさんに贈呈されたそうです。
評価に甘んじることなく、技術者として、経営者として
世界中に新しい驚きを提供し続けている小松さん。
今後、どんな素敵なジュエリーが生まれるのか、楽しみです。
小松さん、ありがとうございました!
【おまけ】

こちら何と非売品!初期の華真珠でできたティアラです。
吉「うわあ、結婚するとき、こんなのつけたら
きらきら輝いて幸せなんだろうなあ...」
小「よろしければ、特別にお貸ししますよ!」
わああ夢のような話!
でも、予定は全然ありません。。。
華真珠を身につけるには、まだまだ足りない
吉村なのでした。
<今回ご紹介させていただいた企業>
有限会社 小松ダイヤモンド工業所
〒400-0034
山梨県甲府市宝1-11-20
TEL 055-224-2518
e-mail mail@facetedpearl.com