10.21.2009
好きな曲を聴くと、なんだか元気がでてくる。
誰かと楽器を演奏すると、不思議と楽しくなってくる。
音楽には、そんなパワーが秘められていると思いませんか?
そんなパワーを、介護・医療の現場で発揮しているのが「音楽療法士」。
音楽が人間の身体や心理に働きかける力を利用して
心と体を元気にしていく仕事です。
今回は、そんな音楽療法士の活動の場を広げ
ひとりでも多くの人に音楽療法を受けてもらいたい、という想いから
2人の若者が立ち上げた「株式会社リリムジカ」のご紹介です。
お話を伺ったのは

音楽療法士で、代表取締役でもある柴田さん

熱血男前剣道青年で、取締役の管さん
(シャイなため、写真は下向き。)

一緒に演奏しながらの、楽しい取材でした♪
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音楽療法士になることを決意させた
自閉症の男の子の笑顔。
小さな頃から音楽一筋で生きてきた柴田さん。
高校生の頃、お母さんから
「音楽を生かせて、人の役に立てる仕事がある」
と教えられ、音楽療法士という職業があることを知りました。
そして、音楽療法士を目指すべく、音大の専門コースに入学します。
「音楽療法士になりたい!」
その想いを確固たるものにしたのは
大学の実習で出会った、ある自閉症の男の子でした。
その子は人と関わることが苦手で、
最初は目も合わせてくれませんでした。
柴田さんは、太鼓のように簡単に音をだせる楽器を演奏したり、
トランポリンなどを使って一緒に体を動かしたりすることを通して
男の子と徹底的に向き合いました。
長い時間がかかったものの、いつしかその子は自分から
柴田さんをトランポリンに誘うまでになりました。
ずっと部屋の隅っこに逃げがちだった男の子が楽しそうに笑って参加する
様子を見て一番驚いたのは、彼のお母さんでした。
「ほんとうに、ありがとうございます。」
その言葉を聴いて、柴田さんは音楽を通じて
人が元気になっていく素晴らしさ実感し
もっと、音楽療法を広めていきたい!と思うようになったそうです。
★ 音楽療法まめ知識★

リリムジカの音楽療法に楽譜はありません。
例えば楽器を演奏するときは、参加者が自由に楽器を鳴らすことからはじまります。
奔放に鳴らしても曲として成り立つような仕組み作りをするのが音楽療法士です。
例えば、このトーンチャイム

あらかじめ、和音になる音だけ揃えておくことで
ピアノに馴染んだ美しい音色を奏でることができます。
自閉症の子どもの中には、目で対象を確認する前に
体を動かしてしまい、周りに体をぶつけてしまったり、
うまく対象のものをつかめなかったりする子がいます。

この、パドルドラムという楽器を使うときは
太鼓をきちんと見ないと音を出すことができないので
目と手の協応の練習になります。
このように、身体を動かす練習になるもの
聴くだけじゃなくて、自分が一緒に演奏することによって
心身が元気になっていくのが
リリムジカの音楽療法なのです。
音楽療法を、ひとりでも多くの人に受けてもらうために
「私、起業します!」
しかし、現状は音楽療法士がそれだけで身を立てていくのは難しい世の中。
音楽療法士がもっと活躍できて
沢山の音楽療法の現場が生まれる社会をつくりたい。
柴田さんはその想いを胸に、起業を志し、セミナーで勉強を始めます。
そこで管さんに出会い、2人は大学を卒業すると同時に
リリムジカを立ち上げました。
しかし、社会人経験すらまったくない2人。
最初は何をすればいいかさえわからず、月の売り上げが15000円だった
という月もありました。
このままじゃ、だめだ。
そもそも、自分達は現場が求めることを実践できているのだろうか。
そういった疑問から
2人は、福祉施設や関係者、老人ホームなどにとにかくインタビューを
してまわり、現在の介護・福祉の現場が抱える課題を洗い出すことにしました。
50人以上へのインタビューを通して見えてきたことは
施設側でも、利用者にもっと何かしてあげたいと思っていること。
でも、実際には時間と人手とお金に余裕がなく
十分に利用者を楽しませてあげることができない、という現状でした。
「長生きするのもいいねえ」
と笑ってもらえる老人ホームを。

それなら、私たちが外から音楽というコンテンツを提案して
刺激を与えることができるのではないか。
こうして、リリムジカは老人ホームでの音楽療法もはじめていきます。
しかし、柴田さんはそれまで高齢者の方と触れ合ったことがなく、
最初は老人ホームで音楽療法をすることを不安に思っていたそうです。
そこで、柴田さんはまず音楽抜きで、一日介護を体験します。
高齢者の方と丸一日の生活を共にするうちに、お互いわかり合うことができて
色んな話ができるようになりました。
高齢者の方と触れ合う中で感じたのは、彼等には
一方的に見せる音楽ではなく、一緒に楽しんで、会話に繋がる
音楽を提供したいということでした。
実際、施設の利用者の方の中には、
何か芸を見ても一般のお客さんほどすぐに反応していないように見える方がいて、
それを知らない演者も困ってしまう、という課題があったのです。
そこで、柴田さんは昔流行った歌謡曲や、幼い頃習った唱歌を
一緒に歌ったり演奏したりするプログラムを作ります。
青春時代に流行った音楽は、想い出を蘇らせ、皆をいきいきとさせます。
例えば、「銀座カンカン娘」をみんなで歌ったとき
一人のおばあちゃんが「私も銀座で好きな人と待ち合わせをしたのよ」
という話をしてくれました。
そのおばあちゃんは、認知症で、目に入った文字を何度も繰り返し
言うことしかできなかった人。
その方自身の話を聴くことができたのは、とても大きな進歩でした。
若者だって
老後が楽しみになる社会をつくりたい。
現在の老人ホームの一部からは
人生をすごく頑張って生きて来た人なのに
居づらくなってしまうような寂しさを感じることがあります。
どうしても、食事・排泄・介護に精一杯になってしまって
「楽しませる」というところまで
やりたくてもできない、という現実があるのです。
そして、そんな姿を見た若者が
将来の希望をなくしてしまう。
リリムジカの2人はそういった世の中を変えていきたい、と考えています。
老人ホームに楽しさが溢れて
自ら入りたい!と思うような場所にしたい。
音楽を通して、毎日を楽しみに生きていける
高齢者や障がい者の方がひとりでも多くなるようにしていきたい。
そんな大きな志を抱えて、高齢者や障がい者の方と
一緒に音楽を奏で、音楽療法士と介護の現場を繋ぐリリムジカ。
取材をしながら、楽器を鳴らして
なんだか私まで元気をもらってしまいました。
これからも、応援させてください!

【おまけ】
リリムジカの2人は、私と同年代!
ふんわりとした雰囲気の中にしっかりとした強い芯がある柴田さん
とにかく勢いがあって頭の回転が早い!なのに礼儀正しい管さん
そんな2人のつくる空間に
そして音楽療法の可能性に、私の好奇心はとめることが出来ず...
今度、実際に老人ホームでの音楽療法の現場に
お邪魔させていただけることになりました。
実際に、音楽を通じてどういったコミュニケーションが生まれるのか
音楽療法士が必要とされる現場はどんなところなのか
密着!リリムジカとして、後ほどレポートします!

リリムジカのお2人、ありがとうございました!!!
●今回ご紹介させていただいた企業●
株式会社リリムジカ
〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-28-16 西武コミュニティオフィス304
事業内容
障がい児および高齢者のための音楽療法・音楽レクリエーションの実施
障がい児および高齢者のためのイベントおよびレクリエーションの企画、開発、実施
高齢者施設の支援およびコンサルティング
介護福祉関係者向け研修の実施
介護に関わる方のための勉強会の実施