09.02.2009
いま、日本人が魚を食べる量が減ってきて、漁獲量も減ってきているといわれています。
原油高の影響もあり、漁船が休漁に追い込まれたりと
水産業界は厳しい状況に追い込まれています。
そんな中、日本の魚食文化を守るために
私たちに水産業界のリアルな姿を伝え
魚を食べれる「ありがたさ」を訴えるバンドがいます。
その名もフィッシュロックバンド「漁港」(「港」の字は反転)。

漁港のライブは衝撃です。
ステージに現れるのは、ねじりハチマキの漁師スタイルの男たち。
力強く歌うのは、「鮪マグロ節」「鰹削れ!かつおぶし」といった魚をテーマにした曲。

そして、なんとステージ上でマグロの解体がはじまる。
ライブ中にも、マグロが客席に配られ
物販でも、マグロの刺身や美味しい鰹節がならぶ。
まるで、港にいるみたい!

はじめてライブを見たのは3年前。ずんずんと体に響いてくる音
そして、客席に投げられる熱いメッセージ。
それを受け取った私は、しばらくドキドキがおさまらなかったのを覚えています。
漁港は、バンド活動もしながら本職では
千葉県の浦安魚市場の鮮魚店を営んでいます。
今回のココロザシ!勝手に応援団は、毎日市場で新鮮な魚を売りながら
フィッシュロックバンドとして、水産業界の生の姿を伝える「漁港」のご紹介です!
浦安魚市場にて
ぎらりと魚をさばく森田釣竿船長にお話を伺いました。

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「日本の食文化を魚にもどし鯛!」
森田船長は、千葉県の浦安魚市場の鮮魚店の3代目として、毎日店頭に立っています。
父方のおじいさんは漁師、母方のおじいさんは魚屋という環境の中、
自身も小さなころから漁師のブルースである民謡や演歌を口ずさみながら
魚を売り歩いていたそうです。
現在は、埋立地になってしまっている浦安ですが
埋立地になる前は、漁師たちの町だったのです。
小さい頃から魚と共に生きた森田船長は
店の看板を守るために、魚屋を継ぐことを決意します。
そして、毎日店頭に立つ中で悲しい光景を目にすることがありました。
それは、さもそこにあるのが当たり前のように魚を買う人がいることでした。
「ありがとう」も言わない。「ちょっと高いね」と文句を言う人もいる。
海の深いところにいる魚を、とってくる漁師や
それを加工する人、他にも沢山の人の力と
自然の恵があってこそ、今目の前に魚がいるということが
あまりにも理解されていないのではないかと愕然としたそうです。
このままではいけない。
食べ物への感謝の気持ちを、水産業界のリアルな現状を誰かが伝えていかないといけない。
そして、日本の食文化を支えてきた魚をもっと大切に食べてもらいたい。
じゃあ、自分が伝道師になっていこう。
そんな想いからフィッシュロックバンド「漁港」の構想が出来上がってきたそうです。

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ミュージシャンというよりは「魚屋」
魚のメッセージを舞台で伝え
舞台でのエンタテイメントは店で出す。
漁港はライブハウスだけでなく
港まつりや、市場のイベントでもライブをしています。
ライブハウスに遊びにくる若者から
小さな子供、おじいちゃんおばあちゃんまでファン層も様々です。
さらに、漁港の2ndアルバム「FISH&PEACE」の発表記者会見が
行われたのは、なんと水産庁!
『築地市場 食育ウィーク』では東京都中央卸売市場漁業でライブをするなど
日本初の試みを続けています。

森田船長は言います。
「志の低い水産業界の人間が、現場やメディアで偉そうなことを言っても、
みんなの心に届くか実際にはわからないじゃない。水産業界という
世界がどういう世界か、分かりやすく伝える責任が俺達にあるんじゃないかと。
当たり前のように食べている魚にも、皆が知らない物語があるわけ。
それは野菜も肉も一緒。まず自然ありき。そして第一次産業、要するに漁師
がいるからこそ、我々は魚を食べることができる。そういった皆が忘れて
しまった"当たり前のこと"を俺なりの言葉で伝えたいんだ。漁港を見て、
自分が生まれた国の食文化について考えるきっかけとなれば幸い。」
恥ずかしながら、私も漁港に出会って
「海と魚に感謝しろよッ!」という船長の熱いMCを聞いて
食べ物が自分の周りにあるのが
当たり前だと思ってしまっていた自分に気づかされました。
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子供たちのためにも、食の安全のためにも
魚食を伝えていかなければいけない。
取材中、私はある光景に驚きました。
子供が、手におこずかいを持って、魚を買いに来るのです。
店頭で、森田船長ときゃっきゃと会話して嬉しそうに魚を買って帰る。

子供たちは、新浦安まつりでの漁港ライブを見て
そこから店に遊びに来るようになったそうです。
少ない自分のおこずかいで、大事そうに魚を買って帰る子供たちは
スーパーで魚が買えると思ってしまっている大人よりも
ずっと大人なんじゃないかと思いました。
また、漁港は鹿児島県枕崎市の枕崎鰹節※大使であり、
責任あるまぐろ漁業推進機構(OPRT)※のイメージキャラクターもつとめています。
「魚食文化を業界の人間が再認識して、次世代に伝えていく。
いただきます!ごちそうさまでした!の原点っていうか、我々は
食=命をいただいているということで再出発しなければならない。」
そんな森田船長の志は漁港ファンに受け継がれ
ライブを見て、市場に魚を買いにくる人もいるそうです。
※枕崎鰹節
現在、鰹節の生産量日本一となる鹿児島県枕崎市で
つくられる鰹節。厳しい品質管理のもとに歴史と伝統を誇る製法で作られ
厳しい産地の規格に合格したかつお節のみが「枕崎鰹節」の認定を受けることができる。
300年以上、高級料亭から一般家庭まで広く愛されている。
漁港はテーマソング「枕崎!勝男武士」を歌う。
※責任あるまぐろ漁業推進機構(OPRT)
世界のマグロ資源を末長く利用できるように、そして世界最大の消費国及びマグロ漁業国として
の責任を果たすため2000年12月8日に活動をスタート。
海と食卓を結ぶ資源管理のため、マグロの漁船の隻数の抑制、密漁の防止
海鳥、海亀の保護に必要な措置の実施などを行っている。
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水産業界の現場を、私たちはなかなか直に見ることができません。
けれども、お寿司やお刺身は美味しいと言って食べています。
しかし、魚という資源は無限ではないのです。
ましてや養殖でばんばんと作れるわけでもない。
そして、一匹の魚が食卓に並ぶまでには沢山の人が関わっています。
こうして、魚を食べれることを、私たちは感謝して
そしてこれからも魚を食べれるように、大切にしていかなければならない。
本当の意味での「いただきます」「ごちそうさまでした」
という感謝の気持ちを忘れてはいけない。
森田船長の真剣なお話を聞いて、私自身も強くそう思いました。
森田船長は「多くの人に魚と命の有り難みを伝えなければならない。
発言できる場所をもっと増やしていかないとね。」と言います。
こうして、朝市場に立ちながらも夜はライブ活動を精力的に続けておられます。
さらに最近では、魚を売り歩く行商も始めたそうです。
「料理人でも一般客でもみんな魚市場には魚を買いにくる。行商が難しいのは、
町を歩いている人に魚を買ってもらわなければならない。待つ商売と攻めの
商売の違いは漁港というバンドを始めた当初みたいで刺激があって面白い!」
と楽しそうに話す森田船長。

常に新しいことにチャレンジする姿勢が、最高にかっこいい!
市場、行商、ライブ、そして水産業界のPR。
すべての活動が繋がって、全身全霊で私たちに水産業界のリアルを伝える漁港。
毎日、何気なく魚を食べてしまっている人がいたら
絶対にライブを観に行った方がいいと思います!

森田船長、ありがとうございました!!!
【おまけ】

取材の帰り、おすすめのホホ肉を買って帰りました。
にんにく醤油でよーくつけて、フライパンでステーキにしたのですが
すっごく美味しかったです。ぶきっちょさんにもおすすめです。
【今回ご紹介させていただいた方】
視聴できます!myspace港